真冬・空をまねる営み/
あまね
るときのけだものの声で
光をなくした貝殻の孤独
たいせつなものは何だったかしら?
一番に好きな歌も思い出せない
ひどい混沌のはずなのに
靴音だけが整然と行軍してくる
先端を連ねた刃物の群れ
忘れたはずの悲しみが怖い
でも今だけは 同じ悲しみがくるのを待つ
風のこぼれる刹那に
雪を溶かすための熱量が運ばれてくるのを待つ
左胸には右腕を その上には左腕を重ねて
確かな輪郭が戻るのを待つ
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