ルービックキューブ/wakaba
 
力で解決しようとする。

この密閉された空間で、このふたりと長時間ルービックキューブをいじっている。
そんな毎日に僕は気が狂いそうになる。

夕方になるとピンポンパンポンとチャイムが鳴り、今日の仕事が終わる。

部屋から解放されて、
ひろみちゃんとたかしくんは目にも止まらぬ驚異的な速度で走って家に帰る。
僕はふたりの残像を見送って、ひとりとぼとぼ歩いて家に帰る。
そして夕陽を眺めながら僕は考える。

この世界がルービックキューブだったらいいのに。
嫌なことは全部回転させて、
あっちこっち入れ替えできればいいのに。
そして全部ぐちゃぐちゃにしてしまえばいいのに。

でも。

ぐちゃぐちゃにして八方塞がりな状態にしてもきっと、
それでも組み直そうとする知らない誰かがやってきて、
また元の統一された形状に少しずつ戻していくんだろうな。

僕やひろみちゃんやたかしくんが毎日そうするように。
苦悩しながらカチカチと。
無表情でカチカチと。
笑いながらカチカチと。
カチカチカチカチカチカチと。
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