混沌のクマ/オダカズヒコ
 
ろうか?
愛を求めるには
あまりにも獣(ケモノ)じみていて
たくましい腕は
始終
人を傷つけた
他者の傷は自己の傷であり
股や脇の裏側にできる美しい病だ

病とは
例えば熱病であり
早朝の戸外で鳴く鶏の声のようなものであり
それは全身を震わせる自然の音なのだ
大気を震わせることは
動物であっても
畏れることだ
むろん
ぼくもその例外ではなく
グロウと啼いた後に
沈黙を夢魔として見て
人間の様に調子よく足を踏むのだ

復讐の文字を刻むために
陰鬱な職場へ向かうために
たとえば
思想を温める為であってもかまわない
たった一つの宇宙の中で
懶惰に生育するものに
ただ耽るのだ
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