観覧車/七
ものもあり
言葉みたいに
そう
つかまえようとしてもたいていは
すり抜けて行く
ずっと星空を見つめていると
ゆっくり流れるちいさい光点がひとつ
あれは宇宙飛行士の
闇にきらめく金色のヘルメット
耳を澄ませば呼吸がくりかえされているのがわかる
今日から明日へ向かう途中をまわっている
彼だって
*
明け方 目を覚ますと雨が降っていて
かすかな声が届く
探すけれど
姿などなく地上には
からみ合って身動きのとれない街並みが
貼りついている
なのでわたしは
たかだかのひとまわり
部屋にいて手に入れたつぶて(記憶)を
向かいの座席にならべていく
ここが動かなくならないように
それらの並びがすこしでも意味を持ち
逃れられない明日へと
観覧車がまわっていくように
*
どれくらい時間が経っただろう
甘やかなうたたね
いつからか傍に座っている
きみの肩に耳をあてて
静けさを聴いている
ねえ
だれもに
光あれ
だなんて嘘ばかり
祈りがあれば結び目はほどけて
もういちど最初から始まるの?
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