観覧車/七
どれくらい時間が経っただろう
もうずっと
海の見える街で
透明な観覧車に乗り
まわっている
昼間の
高い位置からの眺めにみつけた
泳ぐ船体はすこしずつ南方へ向きを変え
遠ざかっていく
その途中
無数の小窓がいっせいに
陽を反射する
光あれ!
波のまにまに漂う乗客たちの希望は
きらりとまぶしい
わたしの鼻にあたる風は冷たく
海はさらに波立つ
*
夜中には
わだかまるような風が入ってきて
なかなか寝つけない
星々のまたたきに手を差し伸べると
それぞれ異なる時空で放たれた光が
てのひらを通り抜けていく
昨日のものもあれば数百年過去のもの
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