都女/為平 澪
 

そんな対照色な生き方をしてみたくても 
雪が怖くてヒールもはけない臆病者では 
尖った音を立てることもない

帰路を歩む靴音が 現実を引きずって進むたび
表参道にいる私がこっちを向いて笑ってやがる
昼夜問わず、遊び疲れ果てる外反母趾にはなれなくて
所詮、会社と自宅を重い鞄をぶら下げて往復する
鬱病背負いの、膝関節症がお似合い愚さ

都にいるのにトウキョウに辿り着けない女
/私は都会で一番、不具合な女になりたい











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