参加賞/中村 くらげ
 
コーヒー豆を噛み潰したような
苦くてじゃりっとした感触が居座るような日々も
喉元過ぎて過去になってしまえば
すぐに忘れるのが僕のいいところ
ただ楽しかった思い出も
すぐに忘れるのが僕の悪いところ

もう大人だからそれなりに
いろいろな経験をしてきたつもり
でも一度も頑張ったことがなかった
メダルやトロフィーはひとつも持っていなくて
参加賞を消費して細々と暮らしている

自尊心なんか持たないという
ある種の自尊心が付き纏う
こんなに安い謝罪の言葉で許してくれるあなた方は
ちっぽけな存在だね
そんなことを考える僕は

わかってる
なにもわかっていないこと
わかってる
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