shitone/草野春心
 


  蓬色の夜、
  つぶれた褥(しとね)に居て
  夥しい数の接続詞らが
  わたしの躰の至るところで
  いっせいに哄笑をはじめたので
  何か 訳のわからない一塊の
  礫(つぶて)じみた物体になったようなのだ


  書物が一つ
  傘のついた照明が一つ
  理由のない悲しみが一つ
  あらゆるものの存在が
  一つひとつ 喉を押しひらき
  わたしへと入ってくる……蓬色の夜、
  それらはわたしの奥で 母に似た掌で
  液状に 闇のなかへ つぶされていくのだ
  


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