カッティング・エッジ/ホロウ・シカエルボク
にかくすっとするのだ、なにかが生き返るような感じがする…その時電話が鳴る、手を止めて出てみると警察だと言う、何度も住所と名前を確認して、警察は言う、「お宅のご主人はお亡くなりになりました」事故だと言う、信号無視の車に撥ねられたと…「間違いないのですか」わたしはかすれた声でそう聞く、間違いありません、と警察は答える、「ご遺体を引き取りに来て頂けますか?」「判りました」わたしはそう答えて電話を切る、エプロンを外し、野菜のすべてをごみ箱に捨て、キッチンを綺麗に片付ける、これまでしたこともないくらいに、綺麗に…それから服を着替え、丁寧にメイクをし、窓を開けて、ベランダを乗り越える、とても美しい街の景色……いま、行くからね。
戻る 編 削 Point(2)