鬼の豆ください/あおば
内の我が家は鬼は居なくなり
貧乏神だけが福の神の装束を着てやって来た
そんなこと知らないわたしたちは
餓鬼となって昼間念入りに掃除した畳の上の豆を拾う
無くなったら、タンスの脇やら、奥まったところまで念入りに探し回る
万一ひとつでも残っていたらねずみに食われる
ねずみは鬼よりも始末が悪い
天井裏で騒いだり台所の食料を狙う悪い奴だ
ねずみ入らずにいちいち入れるのは本当に面倒だ
猫いらずを台所の片隅に置いているが
利口な奴らは決して食べない
ねずみを追って入り込んだ隣家の猫が食べたりして
面倒なことも起き上がるから
猫いらずも使いにくい
ねずみの食べられるものを無くすのが一
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)