「一押しの力?丸山薫の詩を声に出した日」/
石川和広
、今日、イイと思った。あつぼったく、キレイで、丸く透きとおる水玉の輪郭のように。
泣けるだけ泣きつくした水
悲哀のない水
陰影(かげ)に姿を失ひかけてゐる水
もう水は見えない
この橋桁の闇にはもうゐないだろう
遠く河向こふの薄明の空に尖塔の蝋燭が一本朽葉色の十字
架を燃やしてゐる
水の翼の破片がまだそこにとまってゐるやうだ
(「薄明」より引用―「現代詩文庫1036丸山薫詩集」 思潮社1989)
戻る
編
削
Point
(4)