不眠の内訳/ホロウ・シカエルボク
 

じりじりと人体の脂が燃えていく音をおれの耳は確かに聞いていた
そうして想像は終わった
なにかが視界の隅で発光したような気がしてそちらに目をやると


選択されなかった言葉たちが赤々と燃えていた
おれは椅子を持ち上げ
窓に叩きつけた
派手な音を立てて窓ガラスは砕かれ
椅子は缶ビールの空缶のように空地に落ちて行った
一瞬愉快な気分になったが
吹き込んでくる冷たい風にあっという間に正気になった
ちくしょう



今夜はとても眠るどころじゃないぜ



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