殺されるひととすれ違う(2/2)/吉岡ペペロ
。嬉しくて? 落ちたから?
「あたしもカメラ回ってたらすぐ泣けるよ、高ちゃんは? 」
「真帆ちゃんが死んだと思ったらすぐ泣ける」
ほんとうだった。さっきはごめんね。真帆ちゃんがいなくなったらミイラになるまで泣けるよ。ほんとうだよ。
「あたしが死んだら、火葬してくれるの? それとも公園とかに土葬? 」
生きてるもん、真帆ちゃん生きてるもん。死んでないもん。死なんとって、あたしから言ったくせに、ぼろぼろっと涙がでてきた。
「ねえ、どっち? どっちかっていったらどっち! 」
殺せないよ、真帆ちゃんは冗談でも殺せない。真帆ちゃんがこっちを見ない。真帆ちゃんが鼻声だ。風邪? あたしのこと?
「海に撒く? 鳥葬? 鳥葬っていいね、うん、高ちゃんは鳥葬にしてあげる」
真帆ちゃんが笑いながらそう言うのを、あたしはプロポーズやと思って聞いていた。
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