殺されるひととすれ違う(2/2)/吉岡ペペロ
 
照らしている。ベランダからの光がまぶしかった。白いカーテンがそのまま光のようだ。太陽を浴びていると貧血が静かになっていくような気がする。貧血がおとなしくなっていく。あたしはそのまま寝てしまった。
 熱い。暑い。熱い。熱。暑。目を覚ましてからしばらく、ベランダに切り取られた白っぽい夏の空を見つめていた。ついさっきまで忘れていられたのに、美智に無視されていることを思い出していた。
 立ってないからまだ分からないけれど、貧血がおさまっているような気がした。太陽のおかげや。
 太陽さん、ありがとう。あたしは美智とあたしの関係を、なぜか太陽とあたしの関係になぞらえようとした。
 そして呟いた。

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