親指姫とベンジャミン/ベンジャミン
 
僕の名前はベンジャミン。
朝起きると、親指が姫になっていた。
夢か幻覚だと思って、とりあえずしゃぶってみたのだが、親指姫はぴくぴく舌の上で抵抗していた。どうやら現実だ、僕の親指が姫になってしまった。口から出てきた親指姫は、きらきらと輝いてとてもきれいだったが、とても不満そうだった。拭いてくれと言うので、ズボンにこすりつけたらすっかり泣きそうになっていた。そして今度は寒いと言い出した。僕は手袋をはめて、これでいいかと尋ねたら、前が見えなくて困るとぴくぴく訴えてきたので、仕方なく100円ショップで指ぬき手袋を買うことにした。お店にはけっこうお客さんがいて、恥ずかしいから袖に隠れたいと言う。僕も配慮
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