境界線/
ベンジャミン
窓を滑る川底に動けぬ魚がいる
空をうかがう眼を光らせても
端々に歪みを見ては現実は遠い
瞳のうろこを剥ぎ
平坦な眼差しで形をとらえよ
朝日は白くひるがえり
刻々と景色をめくりながら
背筋を駆け上がる熱を
鼓動に伝えようとする
風の吹かぬ場所から這い出すには
尾を叩き跳ね上がるしかない
戻るべき水の匂いは
常に記憶をかすめているのだから
そのとき、たった一枚の扉さえ無ければ
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