otherwise/opus
いくつかの泡が
フワフワと漂う
薄い照明に反射して
キラキラと輝く
外から
さらさらと
水が滴る音が聞こえる
目を閉じる
くるくると
頭の奥で静かな音が聞こえる
瞼の裏側の
暗闇に
ポツリと灯がつく
「どうしようもないけど、
どうにもしようと思ってない」
白いスーツを身に纏った
ヒトのようなものが
そう話す
「頭で満たされない理由を探すけど、
堂々巡りでただそれだけ」
手にはシルクの白い手袋
茶色いコードヴァンの革靴
「イライラばかりが募り、
夜も眠れない」
ザラザラの茶色い顔に
縦に伸びる目
「気付けば誰かにぶつけている、
ただの感情を」
妙に赤い舌
尖った歯
「全ての理由はただ一つ」
軽やかな声
黒々とした瞳
「肯定して欲しいだけ、
ただ君のその全てを」
ぱつん
鼻先で泡が弾ける
目を開く
暗闇
ただ、どこまでも
暗闇だけが続いている
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