夜をぶっとばせ/ホロウ・シカエルボク
 



ときに、視界からはぐれてしまう魂は、だけど
気がつくといつも「そこに来たばかり」といった調子で息を弾ませている
消化試合のようなくだらない時間のあと、身体を、身体を休めて
ウィリアム・サローヤンの古い小説を読んでる
音楽の聴き方にとくべつ定められたものはないけれど、やはり忘れてはいけないことがあるように
どんな小説の中にも必ずそれはあって
「それはこういうことだよ」と語りかけてくるとき、ほかのなにかに気をとられていたりしたら
そこに書かれているもののことにはもうぜったいに気付けない


街角はひどい時雨に濡れている、ときおり家を揺るがすほどの強い風が吹いて
われわ
[次のページ]
戻る   Point(1)