降る日 降る日/木立 悟
 




まばたきが
夜を夜に迎え入れる
十二月が
十二月の指をすり抜けてゆく


遠く青空は鳴りわたり
音の紋は燃えひろがる
水を駆る光
光をついばむ無数のくちばし


凍てついている
ただ 凍てついている
割れ鐘の径を
陽と霧が覆う


青空を砕けば
かけらは宙に消え
亀裂からのぞく瞳には
濡れたむらさきが循環している


光を呑む横顔
虚しさの裏返し
化粧のように
肌を転がる雨


器で在ることを聴きつづけている
呼ぶ声も赦す声も遠くへゆく
かたまりがほどけ 羽に去り
小さな音だけが残される


かたちの奥のかたち
はばたくかたち
見つめるもののまばたきから
夜へ夜へこぼれ落ちる




















戻る   Point(4)