俺のゴール/いねむり猫
深い奈落
あの 世界の境界で 突き倒される 甘い恐怖
もう一度 もう一度 と
快楽と苦痛を 瞬時に行き来する
黒く 艶々した 螺旋
わずかな酒でいい この震えを止めて 立ち上がるだけで
別に大穴でなくてもいい
次のレースにつぎ込むわずかな金を 握っていれば
まだまだやれる
つかの間の 確率の夢に酔って 背骨が溶ける
何度も 何度も 繰り返す度
新しく 鮮やかに 胸が焦げる
視界が一瞬冴えて 研ぎ澄まされる五感に
次のレースが映し出される
遠くに 熱狂の獣たちの歓声が聞こえている
いや あれは
おれがしぼり出している悲鳴 なのか
長く高く 虚空に引き伸ばされて
いつまでも消えない
最後の 鋭いターンの その向こう
激しい水しぶきが 視界を塞ぐ その向こうに
俺のゴールがあるはずだ
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