かなりあ(他 三篇)/乾 加津也
 
の前のまどろみを湛えていた
力を足元深くに
沈めていた


歌に憧れた
夏なら尾瀬(ここ)は
両手を開き
ミズバショウやニッコウキスゲの花を噴き出させるのだろう
山頂から人らの木道を
止まらないおしゃべり鳥たちや
過行く雲といっしょに
笑ってみているのだろう







南の島のハメハメハ大王
           作詞 伊藤アキラ 作曲 森田公一
           「南の島のハメハメハ大王」から


ドラマや小説、ジョークも多い
無人島シリーズ
私は
トイレに座る妄想に無人島を使う
自分一人の無人島は
すでに無人島ではないが
それでも前人未踏のロマンが未だ埋もれたまま
すでに
自分が法律であり医療である
(教育であり流通である)
自分が事故現場であり救済措置である
全国民であり
全ヒト細胞である

風が吹けば自分に遅刻し
雨が降れば自分を休む
名前も自分でつけるしかない
南の島のハメハメハ


日本列島が
人一人いない無人島なら
私は社会をまっとうに生きられるのだが

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