かなりあ(他 三篇)/乾 加津也
かなりあ
作詞 西條八十 作曲 成田為三
「唄を忘れたカナリア」から
訪わない
かなりあは
もう唄わない
あとは捨てられるまでを
生きる
眠る瞳で
唄っていた
生きていた瞬間(とき)に
満ちて溢れた
一筋の音色を手繰り寄せていた
冷えた嘴が
月夜の海にひとつ
象牙の舟に揺られながら
夏の思い出
作詞 江間章子 作曲 中田喜直
「夏の思い出」から
きみと贅沢な思い出になった
尾瀬ヶ原
鳩待峠を下り
熊除けを鳴らしてたどり着く
秋の尾瀬は
ゆったりと目をつぶり
眠りの前
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