現実という嘘つき/
ただのみきや
たなごころにスマホ
便利な無力感が軽すぎる朝
瞳に飛びこむ首のない鳩
飛沫で君の顔はぐしょぐしょになる
また一人死んだ
霧雨が沈黙を湿らせて
僕らが知っていることは
きっと一パーセント以下
「悲しみも儀式」 誰かが言う
記念のものは何一つ残らないと
影すらない「今」に浅く腰を掛け
車越しに遠ざかる古いあの曲の題名は――
たなごころにスマホ
便利な無力感 軽すぎる朝
《現実という嘘つき:2016年1月16日》
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