花びらなら土に帰す/アラガイs
 
がって来るのだろうか。この夫婦が同じ時を一時間と二階で過ごすことはない。男が二階に戻ってくるのは夜遅くいつも一人で夜を過ごす。夫婦とは言っても入れ替わりドアを開けて出て行く音しかこの二人についての関わりはないようだ。
その不自然さをよそに何故か幸せな気分に感じてしまう自分が情けなくもなるが
、近所のスーパーに買い物に行くと入り口に置かれた小鉢の植物たちがいつも気にかかる。
水やりはちゃんとしているのだろうか
今日は誰かに買ってもらえればいいのだがと
、そんなことを思いながらいつもやり過ごしてしまうのは、この部屋から流れ出る温もりには他人の匂いがしないからだろう 。
寝起き時には窓を開け大きく深呼吸をするのが日課になった 。








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