そして始まりと終わりにミンク鯨を食べたものたち/アラガイs
を抜け登頂へと進めるわけだが
大方の死人は罪人の煩悩を背負い薄暗い洞窟の中へと押し込まれることになる
一歩洞窟の中に入れば半分人間の顔をした醜い獣に身体の一部を喰われることにはなりはしないだろうかと
、恐怖のあまりに逃げ出そうなどと考えてしまうだけでも
白髪姿の婆へ変化させられ鬼たちとさ迷い続けることになる
そして旅人の魂は永遠に魔物だらけの子宮に閉じ込められたまま行き場を失う
よくよく考えてみれば赤鬼に魂を抜き取られるのも
青鬼に石を背負わされるのも同じ恐怖には違いない
ここまで来たからには旅人には引き返す手当など許されてはいないのだ
橋を渡り切ったところで足がすくみ立ち止まる
大きな波紋の中心からどす黒い潮の塊が吹き出して飛沫に飛び散った
暗い雲が何層にも分かれると徐々に剥がれ落ち
辺りは虹色のカーテンに包まれていた 。
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