断章遊戯/ただのみきや
 
   針にかかった腸(はらわた)が激しく反り返る


 真の空白の夢中遊泳だった
わたしたちは
愛に似すぎた遊戯で
    屍衣を着せ合い 
       くり返し愛撫した
    今は立ち枯れた 
    白髪のあざみ
  剣を向け合ったまま
幻燈の月に照らされて
紙一枚の厚みにすら
  互いの魔力は消えていた


                  夜に白く上書きする 
                  吹雪は人語を拒んだ


   暖炉の傍ら あなたは
   吸い込まれるよう 
  最後の断章を火にくべる
     「         」
  闇に踏み迷うわたしは
   手の中の言葉に息を吹きかけながら
         ――朝には冷たくなっている





                      《断章遊戯:2016年1月13日》







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