汚れてしまった履歴書/天野茂典
 
  

   ルイ・アラゴンか
   『狂気の愛』
   ぼくは4年間断続的に
   精神病院に入っていた
   狂気の愛
   閉鎖病棟で
   苦しんでいたぼくの来歴
   狂おしく読書がしたかった
   美しい看護婦に惚れた
   嫌らしいことばかりいっていたそうだ
   看護婦さんのおっぱいを揉みたかった
   到底正常ではなかった
   フラクタル理論についても
   語ったそうだ
   愛が欲しかった
   母が心配で
   普段は見ない大相撲中継まで
   チャンネル争いに勝って
   みていた
   母も見ていたはずだから

   狂気の愛
   汚れてしまった履歴書の
   最後に一行


   狂気の愛 それは自涜のブロマイド もう35億年もない


            2005・02・20   
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