毛皮/あおい満月
あらゆる毛皮という毛皮を剥いで、
あなたをただ見つめる。
そこからはまるで、
万華鏡か走馬灯になった
私たちが見える。
私は手元を見つめる。
もうこれしかない。
新宿東口の街の片隅で、
私たちは踞る。
踞りながら小銭を数える。
片割れはそうして
古雑誌を売って生計を立てていた。
昼間はネットカフェ、
そうして就活の日々に明け暮れていた
私はきがつかなかった。
私の足元がみるみる骨になり、
骨は皮に変わっていく事実を。
もう止めて!
叫んだ言葉は青空に翻り、
私に降ってくるだけ。
私はくるりと手のひらを翻し、
黒い雨を虹色に変える。
すべての敵を味方に変えよ、
あの日の遥か海の向こうにいる、
あなたのことばが甦る。
わたしはそのとき、
気がついた。
ああ、私はあいされていたのだ。
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