まともな話をするやつは正面からやってくる/ホロウ・シカエルボク
 
に受け入れて、自分を省みたりせずに生きることだ、おまえにとっちゃそれは簡単なことかい、おれにはまったく興味のない事柄だけど…この街は燃えているか?火種すらあったことはない―この街を燃やし尽くす幻想を思い描く、げたげたと笑いながら…それはきっと物凄く高揚する出来事に違いないぜ、すべてを燃やし尽くして、再建なんかさせない、ここに居る連中には正真正銘の再建しか出来ない、同じものをもう一度作ることしか…おれはマシンガンを手にし、廃墟を彷徨う連中を撃ち殺す、ズダダダダ…気付いたらひとりごとを言いながら歩いていた、やばいぜ…おれは口をつぐみ、前方を見据えて歩く、これ以上ややこしい項目を増やすつもりはない、こうして歩いているととてもよく判る、まともな話をするやつは正面からやってくるのさ、正面からやってきて、きちんと挨拶をしてから話し始める、きちんとした言葉で、正確な文法で話す、それ以外は、みんな幻聴みたいなもんさ―おれは歩道橋を渡り、当てもなく歩き続ける、そうしているうちに、うしろのやつは飽きて居なくなるかもしれない…。







戻る   Point(1)