鯉の様に/陽向?
…屋根から滴り落ちる水滴を見つめて
少しだけ ほんの少しだけ
水の音に耳を澄ませたい
鯉の泳いでいる 石に囲まれた
あの光景を思い出すから
かつての敗者だった僕に
送り届ける安らぎ
冷たい水を飲み目を閉じる
ストーブの前で震えていたことを
思い出しながら
もう行方も分からなくなって
しまったね けれど
すでにあの日拾った石はもうない
そのくらい時間が経ってしまったんだ
いくら胸に刻まれていても
かつての君を通して僕の
胸の奥に映るこの古いお屋敷は
鯉の泳いでいるあの時の光景の様に
君の見た頃と変わらない生活感があるんだ
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