燃える翼を見ていたい/
畠中ゆたか
墜ちていく間は
燃える翼を見ていたい
粘菌に似た街の灯りを見下ろせば
森も海も本心も
凡て闇に統一されるから
僕らはこうして
まだ一緒にいられるんだ
燃え尽きずに落ち続けている間
正当性を保っていられる
乱気流に任せていれば
上昇も下降も大差ないんだ
いつか僕たちは地に墜ちるから
せめてそれまでの間だけでも
燃える翼を見ていたい
戻る
編
削
Point
(2)