越境/梅昆布茶
 
ひとの心は果てしなく彷徨う
距離や時間を超えてゆく

痕跡にすぎないものに捉われ
憶測の触手をあすに伸ばしておののく

ときどき何かを削ぎ落しながら
変わってしまうことをおそれながらも
かたちのない自分を追い続ける

いつも密かに抱いている想い
それは越境する自分を映す幻灯機がほしいこと

明滅する生命のことわりを抱いて
自分の現在を捜しに行く

国境線がみえてきたら
ぼくのこころとからだは蛍になって
夜空に飛び立つ準備をはじめるのだ




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