煙突と月見うどん/nonya
 
な勘違いした奴なんていないのだろう

ウッドデッキの優しすぎる感触に
靴底が慣れてきた辺りに
ホテル系の売店が立ち並んでいたが
メニューを横目で見ながら足早に通り過ぎる
隙間を埋めてくれるものは何も無かった

屋上の一番奥のどんづまり
子供の乗り物がいくつかあったスペースは
小洒落た屋上庭園になっていた
中央には睡蓮の池があり
ささやかな橋が渡されていた

橋の真ん中に立つと
巨大な煙突が真正面に見える
青空の尻を突く真っ白な煙突の下は
区の清掃工場になっている

かつてその場所には
日本一の温水プールがあり
冬場はスケートリンクに姿を変えた
夏休みと冬
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