さよなら/もり
 
く、秋風を、生きた魚より高価なルアーを、人狼を、マタドールを、賛辞を、悪評を、自然な欠点と不自然な機会を、蒲鉾工場のカマトトを、マラケシュの治験コーディネーターを、中国のコールセンターの元締を、セプトクルールのように鮮やかな色で、ブラックボックス代わりのtattooを入れて、突く、淫売を突く、ライオンがいる客間も、退屈も、あまりにも退屈な退屈も、つまりは厭世も、臆病も、あまりにも臆病な修道
・・・
おれは故郷を想う
そこに置き去りにした愛すべき人々を想う
2階のサービスカウンターで自分の名をアナウンスするひとりぼっちの女をぼんやりと見ながら、微睡みながら、余生、それは逆再生、

名前を、忘れてしまうまでの────
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