小指/あおい満月
か見えない、
声の肉体は、
私の喉に入り込み、
声帯を揺らす。
四角いこのフロアのなかには、
ただ、私と、
ある程度の距離を保ちながら
走る仲間がいるだけなのに、
私は何かが言いたくて、
ぐつぐつとわらいを噛み砕く。
地の底からマグマのように
湧いてくる理由のないわらい。
これは何なのか。
私が私にブレーキを掛けている
ストレスか。
ぐつぐつぐつぐつ、
鍋が煮える。
瞳を輝かせた肉たちは、
鍋のなかで糸になる。
その糸を繋ぐのは、
長い間待ちわびた、
小さな小指。
小指はくわえている。
私を喰らい続けた
小さな刃を。
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