ブロイラー/ただのみきや
かり太陽が隠れ
蒼黒い闇が辺りを覆う頃
聖なる祭りの宴は始まる
肉は小さく切って串に刺し焼き鳥に
鳥ガラと鳥モツは鍋で煮込んでスープに
しばらくはみんなただ夢中
食器と 肉を食む
音だけが 蠢いている
ぼくのスープのお椀に鶏の目が入っていた
「運がいい」周りの大人たちが言ってくれた
母さんも「目がよくなるのよ」
目玉の中には白く固い小さなボールがあった
その周りをツルリと啜る
柔らかくてとても美味しい
みなのお腹がひと段落すると
くじ引きが始まる
それはとても大切なくじ引きで
五十歳以上の大人たちが
人数分並んだ蓋をした椀の前に
それぞれ座る
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