雑踏変化/北村 守通
何のために
東京に出向いたのだろう
しょんべんしながら
後ろ向きに走るためにだったのか
それとも
夜中のグランドに
ロケット花火を水平に打ち出して
土煙が上がるのを
眺めるためだったのか
けれども
府中は暖かく
国分寺は
私であった
小金井は
どの土地よりも
ホームグラウンドで
私は
きっと
それらのどこかに生まれてきていたはずなのに
各種の
証明書は
それを記していなかった
あの日々は
一体なんだったというのだろう
幻だったのだろうか
否
否
否
否否否否
確かに
確かに
覚えているのだ
そして
瞼に浮かぶのだ
足の裏に
思い
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