証拠なんかなくてごちそうさま/ホロウ・シカエルボク
白昼バランスでも崩したのかすっ転んで縁石で頭を打って死んでいる老人が漏らしてスラックスに滲んでいる糞を一匹の野良猫が執拗に舐めていてその傍を通り過ぎる子供用の鉛筆みたいな服装をした若い女がひと言ウケると呟いてその女のサンダルに貼られている一枚のプリクラはよく見るとあの狭いブースの中で突っ込まれている記念写真でいったいこの娘には外で靴を脱ぐ機会など無いのだろうかそれともあったところで意に介さないのだろうかいやだけれどそんな機会があったところでこの娘の履いている固いパンみたいなサンダルに興味を示すものなど誰も居ないのかもしれないそもそも他人の靴などをまじまじと見る人間などそんなには居な
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