歩く耳/あおい満月
 

荒れた手の皮膚に入り込み、
毛孔たちの眠りを揺する。
それでも捏ねる手は止まらない。
ぐしゃり、一掴みして
楕円形に丸めていく。
手は不思議だ。
このときだけ、
まだ未知な母親に変わる。

****

小さな子どもと遊ぶ夢を見た。
子どもの母親は私の友人だ。
けれど、
父親だけは違う。
友人の旦那ではない。
父親はふらりと出ていき、
なかなか帰らない。
しびれを切らした私は、
友人と子どもを残し、
父親を探しにいく。
なかなか見つからない。
急がなくては、
作ったばかりのハンバーグが
冷めてしまう。


戻る   Point(6)