瓶/木屋 亞万
 

瓶を持っている
普段は隠しているけれど
常に持ち歩いている
中には液体が入っている

一人でさ迷っている
瓶の底に手をあてて
注ぐ動作をするなど練習を怠らない

栓はまだ抜いていない
一度開けたら閉じられない
気がして怖い

コルク式の古い栓だ
キャップ式ならよかった
簡単に開け閉めできるから

いつも瓶の中はたぷたぷに満たされている
爆発するほど溢れそうになると
ひとりでそっと中身を抜く
でもすぐにまた満たされる

中身は愛のようなものだ
愛のようだけど身体に悪い
飲むと病気のようになって
狂ったようになって
しあわせに包まれて
壊れてい
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