風の舌 八/信天翁
 
   芥子色の北風をついて
       冬至の太陽が
    レースのカーテンに
   無味乾燥の原版として
      いろつや褪せた
  庭木のかげをはりつける
       卒寿となった
 おひとりさま そっくりに
     そうして そこへ
沈潜したひとときをまたいで
 巡回の三毛猫が素通りした
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