命と塵の話/ただのみきや
下敬二郎)より》}
ところがある日
命の方が三下り半を突き付けて
出て行った あっさりと
捨てられたおれは途方に暮れたけど
こんな唯物主義の世の中じゃ
塵になるしかなく
恨み言ひとつ言えず漂うだけだ
雨に濡れては泥になり
日に焼かれては固まって
そうして また削られる
風の吹くまま
誰かの目に飛び込んで涙を誘ったり
誰かの鼻に吸い込まれクシャミをさせたり
煽られて舞上る 高く 高く
まあ そんなに悪くもないけど
おれから解放された命は
もっと高く 宇宙ステーションより高くにある
別のステーションのカフェでお茶でもしながら
笑って眺めているのだろう
尊い命さん ご機嫌よう
下界じゃ涙とクシャミが絶えません
《命と塵の話:2015年12月23日》
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