二〇一五年十一月二八日 ー ゴーヤと朝顔の物語 ー /イナエ
一時寒くなった初秋が過ぎて
再び訪れた夏日の朝
何を血迷ったか朝顔が起き出してあたりを眺めている
なんか気の合いそうな方が芽ぇ出しとりんさるがな
おみゃさん ひょっとしたらゴーヤさんやないかね
不意に呼びかけられてゴーヤは応える
そうやけど
ぽかぽか陽気に目ぇ覚めて 芽ぇ出したらえろう寒いがな
わたしゃ じりじり焼けるような暑い日が好きやでな
ところで この赤い花はなんやろな
朝顔
さっき通った人が言っとったけど 椿やそうや
ゴーヤ
椿かね こんな赤い花をさかせるんかね
ところで あんたの居る所 南天の藪の中でないかね
朝顔
[次のページ]
戻る 編 削 Point(12)