引越し前夜/
 


一年で一番夜が長い日はまだ
私はこの街の住民で
ダンボールタワーの中で暮らしてる

一年で一番夜が長い日の次の日は
もう私はこの街の住民ではない
ダンボールタワーの中にはいるけれど

明日の今頃はもう
この家もこの浴槽も
私のものではない

明日の今頃はもう
私たちの生きた形跡も
無くなってしまう

今日最後だからって
わざわざ夕飯作って持ってきてくれた隣のおばさんも
明日からは他人になってしまう

どこか懐かしく感じた畦道
よく1人で通っていた小さな神社
いつも生き物がいる近くの小川
一面の田んぼに映る富士山
スーパーにいつもいる
マイ
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