落ちてくる香り/opus
 
光が点々バラバラに明滅する
目からは涙が流れる
右の拳が女の腹を打ち
女は性器から血を垂れ流す

それで何も生まれない
それで何も埋まらない
涙が流れる

金が欲しい
本当に?
名誉が欲しい
本当に?
美女が欲しい
本当に?

苦労するのは嫌だ
頭の内側がギチギチする
肩がこって
またお前の右頬をうちたくなる
そして、
お前はまたニコリと笑うんだ

外で作った女に子供が出来た
そしたら、
お前は俺の腹をブスリ
反射的に打った拳が
お前の腹へ
血液ドロリ
光が明滅し
意識が遠ざかる
鈍く緩い感覚に
全身が包まれる
身体が冷たくなる
震えたくとも身体は動かない

「寒い」

ふわりと
ブーゲンビリアの香りが
落ちてくる
そうか、
そう思うと
そこで途切れた





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