ユニゾン/そらの珊瑚
 
一年に一度
ピアノの屋根は開かれて
確かめられる
狂っている、ことを

どうやら
人の営みから生まれるノイズが
そのうすぐらい闇の中にあった
木や羊が暮らす小さな世界を
ゆるがせながら
平和に狂わせてしまうらしい
 
調律師の非凡な耳は
ほんのわずかな音の狂いを
暴きだそうとする
象牙の鍵盤はしつように叩かれ
彼が正しいと納得するところまで
修復される

やがて単音は複音となり
オクターヴ隔たれているそれらの音が
まるで
捜していたもうひとりの自分のように
まじりけなく
響き会うまで
永遠を刻むようなリズムで反復されながら
磁石に引き寄せられるよ
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