暗転の種類/ホロウ・シカエルボク
 
を刻む文字盤を眺めることはない、それは死別の数を数えるようなもので、そして間違いなく時の概念よりも確実に、脳髄に、肉体に、精神に刻み込まれていくからだ、瞬きは臨終の音を奏でるし、呼吸はもうないもののにおいを嗅ぐ、鼻面に人参をぶら下げられた馬がそれを追いかけて走り続けるみたいに、夜に真っ当な路面を踏み、眠ることを忘れて彷徨い歩く…生はない、死はない、ただ歩く足があるだけ、たとえいまが真昼だろうが…微かなにおいを、微かな足跡を、追って―そうさ、それが誰のものなのかなんてことは、とりあえず置いておいて…行くべきだと感じる場所を嗅ぎ取るだけさ、魂は彷徨うものだ、向かうべき先の名を知らぬことが正しいのだ、通
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