暗転の種類/ホロウ・シカエルボク
 









脳髄に出来た亀裂から饒舌な空虚が垂れ流される夜だ、信号はどこかに、信号はいつもどこかに…アンテナのないところで途切れる、雨を待つ空は紗幕のように奇妙な光を放ち…まるで着地点のない独り言のようにぼんやりとしている、使い道がなくなったまま放置されている低い電信柱に取り付けられた外灯は明るく照らすためのものではない、いまここは夜なのだとはっきり知るためのエッセンスに過ぎない、靴の踵を上げて歩き出すがいい、そこには歌うべき言葉など落ちてはいないから…(受信されなかった電波は消え行くときになにを思うのだろう?)ポケットにつっこんだスマートフォンから流れているFMラジオはも
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