きみが火事でも助けない/ユッカ
えてからしばらく
とりかえしのつかない静けさで満ちている
この家の中で唯一
すべてを台無しにできる
きみの情熱を見過ごしたい
なあきみの声が聞きたいんだ
このドアのむこうの部屋で
僕の名前を一生呼びつづけていてくれ
そうやっていつしか僕を忘れて
やさしい光の差す庭に帰り
あたたかな記憶の一員として思い出してくれ
それしか望んでいないんだ
それしか望めやしないんだ
でもあの日僕を望んでくれた
きみをその部屋に置き去りにすることが
この上もなくひどいことに思えてならない
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