私の大好きな哀川さん/瑞海
 
私の大好きな哀川さんは
名前の通りに
非常に哀愁漂う女の子である
夏でも冬でも
哀川さんの周りには光が纏っている
その光はきっと私の幻覚なのだろうけど

私の大好きな哀川さんは
いつも一人きりでいつも伏し目がち
長い睫毛が茶色の瞳にかかって
ああ、儚い
といつも眺め思う

ある日
私の大好きな哀川さんは
美しさの象徴であった長い髪の毛を
バッサリ切ってしまった
顔のラインに沿った可愛らしいショートカット

ああ、哀川さんは
髪の毛と何を体から切り離したのだろう
ああ、何バカなことを
哀川さんは周りの女のように
ありきたりなアクションなんか
しないじゃ
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